北浦発たなご通信4〔あすか釣狂人〕

「鈎研ぎ」とは釣りの世界で使われる用語だが、実際、「鈎研ぎ」が行われている釣りと

なると、そうは多くない。

一般的には、鮎釣り・ルアーフィッシィングなどが代表的なものだが、タナゴ釣りの「

鈎研ぎ」は主な目的において異なる。職業漁師の鈎研ぎも含めて鈎を研ぐ最大の目的は、

カカリを良くすることであり、その為に鈎先を鋭く研ぐのであるがタナゴ釣りの「鈎研ぎ

」は、より小さなタナゴを釣るためのものであり、同時にカカリを良くする目的も有する

のである。

〔タナゴ用研ぎ鈎の効果〕

・ハリ先までの長さを短くすることによって、より小さなタナゴが釣れる

・カエシ(バーブ)を短くすることによる、釣ったタナゴの鈎はずしの効率アップとタナ

ゴヘのダメージを少なくする

・ハリ先をより鋭く研ぐことによって、より小さく静かな合わせで釣がかりするようにな

り、結果として寄っているタナゴを散らすことが少なくなり「釣れる状況」を長時間持

続させることができる。


 それでは実釣面から研ぎ鈎の有効的な使い方を考えてみよう・・・小さく鋭く研ぎ上げ

た釣の威カを生かそうとおもったら、まず留意しなければならないのが「エサ付け」であ

る。ベテランになればなるほど、釣る態勢にはいったときのエサは小さく、その大きさは

ケシ粒の半分が理想という人がいるくらいで、逆をいえば、おおきなエサ付けは研ぎ鈎の

効用を損なっているとも言える。つぎに質間が多いのがハリスの素材についてである。タ

ナゴがエサの付いた鈎を吸い込み易いように「しなやかさ」を優先した素材選びをするか

適度な張りを持った素材をハリスに使うことによってアタリが確実にシモリに伝わるよう

に意図するかによって素材選びが違ってくる。いうまでもなく前者が絹糸をメインにした・

素材であり、後者は化学繊維に多いのであるが、ハリスの強度に関しては神経質に考える

必要はなく、竹竿愛用者などは意識して弱い糸を使用しているくらいです。

 蛇足ながら、小さく研いだ鈎を使いこなすにはエサ付けは勿論、正確なシモリ諷整・ア

タリの取り方など釣技面での課題克服が前提であり、やたらに研ぎ鈎の威力に頼るのは、

かえって釣技アップの面で遠回りになる可能性があることを付記しておきます。

最後に、大型のカネヒラ釣りなどでも最近は研ぎ鈎を使用する人も多く、フッキング率の

アップとカエシを小さくすることによるダメージの軽減をねらっているようです。

                         05,4,吉日
 

  江戸釣趣 あすか 亭主

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