極寒のタナゴ釣り

 12月初め頃までは、状況の異なる色々な場所で数釣りが楽しめたのですが、特に1月頃から2月初
め頃迄が釣り辛くなります。理由は次のようなことが考えられます。



1.フィッシングプレッシャーについて

 雨が降ることは少なく植物性プランクトンも数が減るこの時期、浅いドックでは底に沈んでいる物を目
視する事が出来ます。普通底が見える様な場所では、魚からもこちらが丸見えですから、魚が居たとし
ても魚の警戒心が薄れ釣り易くなる時間帯は朝・夕になります。但し、曇っている場合或いは暖かい雨
が降る場合は、フィッシングプレッシャーが下がり、釣りやすくなる場合もありますが、釣れるか釣れな
いかは、少し前の状況から魚にとって状況が改善されているかによるところが大です。風が吹き始めた
、日が陰った等は、魚の警戒心が薄れる方向に働くので、釣りやすくなる場合が多いです。(ただ、こ
の時期は当たりは小さいので、風が吹き始めると当たりは取りにくくなりますが。)

 何故かと言うと、この時期のタナゴ釣りは、狭いエリアでの釣りが主なためです。

 寒い時期には、越冬の為に流れの少ない水温が安定しているできるだけ深い場所にある障害物廻
りに多く群れで居るものです。そのような場所には当然釣り人も多く入りますから時間経過と共に間引
かれて数が減りますし(リリースする釣り人は大変少ない)、又サイズも小型が主になり、当たりが小さく
なるので繊細な仕掛けが有利になります。

 近年網等による大量採取も多くなってきており、水生植物のアナカリスが打ち上げられている場所を
多く見かけます。当然水質も一気に悪化しますので、より釣り辛くなりますし、たとえ釣れても数は望め
ません。


2.場所探しについて

 今釣れている場所でも、フィッシングプレッシャーで徐々に釣果は悪化して行きますので、新たな居
場所を発見する確認作業の必要が生じます。この確認作業は一見大変地味で時間の無駄に思えます
が、この地道な確認作業をせずに、魚の居場所を発見する事はまず困難と言っても過言でないと思い
ます。普段は過去に釣れた場所を回っているに過ぎないのですが、水色・底の形状・他の魚種の生物
反応等を考えながら、探って行くと初めての場所で掛かかった一匹のタナゴは大変多くの意味を持っ
ていますし、可能性を秘めています。時間帯を替えてアプローチすることも重要ですし、また、ポイント
近くを徹底的に確認すると底の形状を把握出来て、魚の釣れた場所から色々と可能性が広がり楽しい
確認作業が出来るものです。


 とかく極寒のタナゴ釣りはピンスポットにこだわりますが、何故その場所にステイしているのかは、廻り
を確認することでハッキリ判ってきます。後は似た様な場所を探ることで、新たな場所の発見に繋がる
と思います。大変労力を要しますが新たな場所の確認作業をすることによって、魚の居ない場所を見
切る事が出来て、結果的には魚に近づくと言うことになります。


3.状況変化について

 魚にしてみれば、越冬中、寒いなら水温が一定でできるだけ暖かく過ごせる場所が良いことは想像が
付きますが(体力消耗)、多少は餌も取りながら水温が上がるのを待っている状態なはずです。そのよう
な状況下で、魚の警戒心が薄れて、捕食が出来尚かつ消化が出来るようになるための風・濁り・水温変
化・水位についてですが、

@ 風を考えると、多少の風は流れを作るので全く動きが無い状態よりは多少魚が動く事が考えられま
す。暖かい南風なら活性は更に上がります。但し、水温上昇までタイムラグはありますが・・・ 水深が浅
いエリア程変化は大きいです。

A 濁りは殆どの魚で警戒心が薄れます。浅い場所ほど釣れる第一の重要な要因になります。但し何
処でも釣れる訳でなく、魚が溜まりやすい場所が必ずあるので、広く確認する事が大事になりますし、
条件で付き場が変わることもしばしばですし、濁りの程度でも状況は大幅に変わるので、日頃から雨
量でどの程度影響するエリアかを確認する事が大事です、適正な時間帯がエリア毎に微妙に変わり
ます。

B 水温変化は、変温動物の魚にとって大きな影響を与えます。一般的に適正水温に近づくほど活性
は上がると言われております。仮に25℃が適正水温とすると、25℃より離れる水温変化は活性が悪く
なる方向に働きます、逆に25℃に近づく水温変化は、活性が上がる方向に働きます。一般的に一日
では、日の出過ぎが最低水温で午後の1時から2時位迄が水温ピークの時間帯になります。冬の寒い
風は水温低下に向かうことが多いのですが、他の要素が良い場所では多少の風は活性アップに繋が
ることもしばしばあります。

C 水位変化では、水位低下は大概の場合は活性低下に向かいます、食欲より生息場所の確保が第
一になると考えられますが、安定すれば又活性は戻ります。霞ヶ浦水系は、逆水門の開閉で頻繁に水
位が変わります。一般的に真夜中に水門を開け朝が水位最低になるのが一般的です。ホソ毎に影響
の程度も違いますので、水位の変化を霞ヶ浦河川事務所のリアルタイム情報を元に、推測することも大
事になってきます。もちろん直結していない水域では影響が無いですが、冬は雨量が少ない時期なの
で、降った後でどの程度水位と濁りが増すかが、釣果に大きく影響します。


霞ヶ浦水系は広大で、時の経過とともに変わる色々な条件が複雑に混ざり合った場所で釣りをしてい
る訳ですから、エリア毎に毎回微妙に違いがあるものです、この微妙な変化による釣果の違いを釣りを
通して確認しているので、単一種類の魚を相手に釣りをしていても飽きが来ないのだと思います。


釣り人の欲求は無限ですが、資源は有限ですので、出来る限りのリリースを心掛けたいものです。
感動と発見を与えてくれる楽しい釣りを今後とも続けていけるように。

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