タナゴ飼育について
理想的には、水量の多い水槽で少数の個体を飼育するほうが良いことは、誰でも想像が付きます。
何故水量が多い方が良いかを考えると、水替え期間が長くなる・水質が安定している・タナゴの運動
量が多くなるので大型になり易い等です。欠点は水替え・掃除に手間が掛かる、大型水槽は高価、
又、設置場所等でもクリアーしなければならない課題が多いことも事実です。
水槽を購入する場合のコストパフォーマンスは、60センチの三点セット水槽一式が一番安価につ
きます。45センチ水槽は値段と水量から60センチ水槽より劣りますが、設置のし易さと繁殖用には
欠かすことの出来ない水槽になります。90センチ水槽位が安価に購入する事の出来る分岐点に位
置する水槽になります。但し、水槽台と設置場所等は日頃の管理を考慮した場所に決めることがと
ても大切になります。水替時に多少濡らしても良い場所、又、交換のし易い場所は絶対条件です。
頻繁に家族が通らない場所で、一日に2〜3時間位太陽が当たる場所が理想的です。水槽以上に
水槽台も大切になります。長く使う物ですから出来れば最初から木製を購入すると、まず買い換え
の必要は無いと思います。
私の場合、一週間に1センチの個体を飼育するのに必要な水量は、1リットルを目安にしています。
つまり10センチの個体なら10リットルになります。プロの飼育数量は2.5Kg/トンと言う話も聞いてお
ります。(例 カネヒラ5〜6匹の成魚で60センチ水槽での飼育数になります。)
一端体表が擦れると傷口から細菌や真菌(カビ)が侵入して病気になりやすくなります。沢山飼育
すれば水質悪化が早まり、特に夏はアンモニア濃度の為に半日で全滅になる事もあります。(例 カ
ネヒラ稚魚を大量飼育した夏の時期にトラブルが多く発生します。)考えられる原因としては、餌を沢
山与えた為に濾過バクテリアの働きが間に合わず、アンモニア濃度が許容範囲を超えた為に全滅
と考えられます。回避する方法としては、水替えと個体数を減らすしか方法はありません。
適正な個体数で飼育していても、毎日の給餌で必ず水質は悪化します。濾過バクテリアの働きで
水質がゆっくり酸性になって行きます。普通、水道水はPH7から7.2位に調整されています。水替
えしても飼育水はゆっくり酸性になり、一般的にPH6.4位が限度です。霞ヶ浦水系では通常PHは
8以上で、水槽飼育時は中性から酸性の水質で飼育する訳ですから、魚にはそれなりのストレスが
掛かると思います。種類によりますが、酸性に弱いタイリクバラタナゴは肌荒れに陥りやすいですが、
症状が出て直ぐに水替えを行えば、大概は症状が改善されます。基本的には症状が出る前に水替
え・掃除をすれば良いわけです。水槽の数だけ水質が異なると思って良いので、毎日の給餌時に
魚の様子を見て素早い対応が大切になります。餌を多く与えて個体が落ちた話は良く聞きますが、
少なく与えてのトラブルは極端に少ないことも事実です。通常の手入れは、与えた餌の分だけ水槽
内に含まれる不要成分を表に排出する行為が正しい解釈かもしれません。
水槽飼育を始める時期は各人バラバラですが、飼育の絶対条件に濾過バクテリアの発生があります。
新しい水槽には濾過バクテリアが発生していないので、2〜3匹の小型のタナゴを入れて少ない餌
で暫く期間を置きます。自然に濾過バクテリアが濾材等に発生して、水質が安定してから通常の飼
育数にします。又、水槽を増設する場合は、既に立ち上がっている水槽上部のガラスを外して新し
い上部フィルターを追加セットして、並列稼働させると短時間に濾過バクテリアが発生します、以前
から使用していた上部フィルターを外して新しい水槽にセットすれば、最初から適正な数を飼育す
ることが可能になります。(フィルターの濾材は多数売られておりますが、私は表面積が大きくて(小
型が表面積は大)軽い素材の物を使用しております。メンテナンスのし易さ。)
発病対策について
1.自然界より採取した個体は、水槽飼育をする前に薬浴するのが一般的です。釣りの帰り支度の
時に個体の選別をして、あらかじめカルキを抜いた水と薬浴材を用意しておき、帰る車の中で薬浴
を済ませれば帰宅後は直ぐに様子を見る仮水槽に入れられます。暫く様子を見てから本飼育水槽
へ移せば安心です。
2.既に安定している水槽での発病、又は状態が悪い場合の大半の要因は水質です。春から梅雨
の時期、又、夏から秋の時期、おおよそ水温15℃前後の時期に発病が多くなります。春型及び秋
型産卵種の産卵行動に伴い水槽内では傷つく個体が出ますので、水質が悪い水槽では尚更発病
し易くなります。この時期の水替え間隔を短くすると発症を大幅に少なくする事が可能です。又、日
頃のメンテナンスで何処か掃除していない部分が無いようにすることも大切です。但し、一度に全て
の部分を綺麗に掃除すると濾過バクテリアが極端に減少しますので、各部分間隔を開けながらの掃
除が肝心です。
3.発病した場合は毎日の給餌時に様子を見ていれば、殆どは速やかな水替えで回復するのです
が、時間が経過して症状が悪化している場合は水を2/3交換して、グリーンエフゴールドと塩を投
入して様子を見ます。低水温時期はヒーターの投入も効果的です。2日経ったら再度水替えを2/
3行い様子を見ます。改善の程度により同じ事を繰り返すか、塩を予防的に投入するだけにするか
のいずれかです。大概の場合は数日で回復に向かうはずです。なんと言っても素早い対応が絶対
条件ですから、薬浴剤と塩は常備品になります。
その他
水槽飼育は長期間飼育する訳ですから、日頃の水替えと掃除だけで全て安心と言う訳には行き
ません。上部フィルター、エアーポンプ等のメカニック的なトラブルを考慮した飼育数が大切になり
ます。私は各水槽に上部フィルターと底面フィルターをセットしております。(底面フィルターは規定
の枚数を入れないで、一枚だけ使用します。メンテナンスがし易いことが絶対条件になります。)理
由は同時に壊れることは皆無に等しい為です。但し、停電では同時に装置が止まるので、一日位
装置が止まっても魚が酸欠に陥らない飼育数が良いわけです。タナゴの種類により寿命年数は異
なりますが、寿命
が来るまで飼育を続けられれば合格ですね。
飼育環境は各人違うと思いますが、私のタナゴ飼育を思い付くまま書いてみました。
参考になれば幸いです。